介護予防・日常生活支援総合事業(通所型サービスA)

筋力トレーニングの所要時間は、30分程度を目安とします。筋力トレーニングでは、「歩行機能強化トレーニング」、「姿勢保持筋トレーニング」、及び「転倒防止トレーニング」を行います。「歩行機能強化トレーニング」では、歩行時に必要となる筋の強化を行います。「姿勢保持筋トレーニング」では、一般的に不良姿勢として多いといわれている猫背姿勢や円背などの改善の助けとなる筋の強化を行います。「転倒防止トレーニング」では、転倒しやすいといわれている小刻み・すり足歩行の改善の助けになる筋の強化を行います。利用者様の体力に応じて、実施する種目を行っています。

歩行機能強化トレーニング

歩行機能強化トレーニングでは、安全に歩行にする為に必要な筋の強化を行います。歩行時の骨盤の安定化に必要な中殿筋や、地面を蹴り出しに必要な大殿筋や大腿四頭筋、及び下腿三頭筋などの下半身強化を行います。安全に長時間歩行する為には、下半身強化だけではなく、適切な姿勢での歩行、及び転倒防止が不可欠であると考えています。これらのトレーニングについては、後述します。

歩行機能強化トレーニングで行う種目鍛えられる部位
レッグエクステンション大腿四頭筋
チューブヒップアブダクション中殿筋
スクワット(もしくは椅子スクワット)大殿筋、大腿四頭筋
カーフレイズ下腿三頭筋

姿勢保持筋トレーニング

姿勢保持筋トレーニングは、背中の筋肉を効果的に動かすことで、猫背姿勢や円背などの前かがみ姿勢の改善の助けとなる運動です。背中のトレーニングは、背中の筋肉への意識付けがしにくく、難しいといわれています。背中のトレーニングの動きは、引く動作(プル動作)であり、肩甲骨を背骨に寄せる意識をもつことが大切になります。肩甲骨への意識付けによって、トレーニング効果が大きく左右されるのです。ご自宅では、チューブを用いて行うことが出来ます。柱にチューブを取り付け、チューブを引くときは、肩甲骨を背骨を意識して行います。20回ほど行うと、背中が温かくなり、爽快感が得られます。チューブがあれば、ご自宅で出来るエクササイズなので、取り入れてみてはいかがでしょうか。

姿勢保持筋トレーニングは、安全に荷物を持ち上げる為の動作づくりとして有効です。腰背部痛を訴える際の受傷機転として、荷物を持ち上げる際にバランスを崩して負傷するケースが多くみられます。荷物を安全に持ち上げる動作の習得には、デッドリフトの習得が有効であると考えています。デッドリフトは、パワーリフティングで実施される競技種目の一つであり、アスリートのみが行う種目であると考えられがちです。デッドリフトの基本技能は、床にある荷物を安全に持ち上げる動作づくりとして非常に理にかなっています。利用者様の習熟度によりますが、軽重量のメディスンボールを用いたデッドリフトを姿勢保持筋トレーニング種目として加えています。

姿勢保持筋トレーニングで行う種目鍛えられる部位
チューブロウイング広背筋、菱形筋、脊柱起立筋
デッドリフト(メディスンボール)大殿筋、ハムストリングス、広背筋、脊柱起立筋、僧帽筋

転倒防止トレーニング

転倒は、重大な外傷のリスクです。低い段差を乗り越えたつもりが思ったより脚が上がっておらず、つま先が引っかかって、段差につまづいてしまうケースが多いです。もも上げに必要な腹筋のインナーマッスルである「腸腰筋」を鍛えることは、効果的です。つま先を上に持ち上げる(足の背屈動作)筋肉を鍛えることも有効な方法です。「もも上げ動作」と「つま先を上に持ち上げる足の背屈動作」を行う筋肉をトレーニングすることが大切なのです。

利用者様の体力に応じて、実際に段差を乗り越える動作を行うトレーニングを行っています。特異性の原理に則って、実際に段差を乗り越える動作を行った方が、転倒防止に有効です。具体的には、ステップアップ(踏み台昇降)を行っています。ステップアップは、他のエクササイズに比べて、難易度、及び危険性が高くなります。安全を確保する為に手すりの設置は必須です。また、運動指導者は必ず利用者様の隣にいて、利用者様の不測の事態に対して、いつでも救出できる状態にしなくてはいけません。もし、「利用者様の体力レベル」もしくは「運動指導者が利用者様のフォローが可能であること」に少しでも不安があれば、ステップアップは行うべきではありません。

転倒防止トレーニングで行う種目鍛えられる部位
レッグレイズ腸腰筋
トゥレイズ足関節背屈筋
ステップアップ(踏み台昇降)大腿四頭筋、大殿筋

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