鍼は、身体の痛みを軽減させたり、身体の血行を促進させたりするなどの効果があります。
また、適度な鍼刺激を加えることで、心身ともにリラックス効果が得られることも分かってきております。
鍼の効果については、少しずつではありますが、解明されてきております。
今回は、鍼治療の効果について、お話します。
ヒトの身体には、「痛みを和らげる機能」が備わっております。
痛みがない状態では、脳内の働きによって、「痛みを和らげる機能」が抑制されています。
例えば、打ち身など何かしらの原因で、身体に痛みが出現した場合、その身体の痛みを軽減させる必要が出てきます。
身体の痛みを軽減させる為には、脳内の働きによって抑制されている「痛みを和らげる機能」を開放させなくてはいけません。
その機能を開放させる方法の一つとして、鍼による刺激があります。
鍼による刺激には、「侵害刺激」と「非侵害刺激」の2種類があります。
1つ目の鍼による「侵害刺激」とは、皮膚や筋肉に刺鍼することで得られる痛覚刺激です。
主に、「毫鍼」などの刺す鍼を用いての鍼刺激です。
皮膚や筋肉に鍼刺激を与えると、その刺激は、脊髄を介して、脳内に到達します。
鍼刺激が脳内に到達すると、脳内から「β-エンドルフィン」や「エンケファリン」が分泌されます。
それらの脳内物質によって、抑制されていた「痛みを和らげる機能」が開放されます。
「毫鍼」などの刺す鍼を用いて、身体に侵害刺激を与えることによって、鎮痛効果が発揮されるのです。
2つ目の鍼による「非侵害刺激」とは、「ローラー鍼」や「てい鍼」などの刺さない鍼での皮膚刺激です。
刺さない鍼などを用いて、皮膚を擦ることによって、皮膚の触圧覚が興奮されます。
「ローラー鍼」や「てい鍼」などの鍼を用いて皮膚に鍼刺激を加えると、刺激を加えた局所付近において、痛みを抑制することが出来ます。
つまり、俗に言う「痛い痛いの飛んでけ」であり、学術的な用語ていえば、「脊髄分節性鎮痛」です。
余談にはなりますが、「脊髄分節性鎮痛」が起こる機序として、「ゲートコントロール説」が有力とされていた時期がありました。
ゲートコントロール説とは、「ゲートコントロール」と呼ばれる門が脊髄に存在し、その門が、痛み刺激をコントロールすることで、鎮痛効果を発現するという学説です。
実際には、「ゲートコントロール」と呼ばれる門は、脊髄に存在しておらず、現在、「ゲートコントロール説」は、否定されています。
しかし、鎮痛機構としての「脊髄分節性鎮痛」は、存在している為、「痛い痛いの飛んでけ」は、気のせいではありません。
また、鍼による効果として、血行を促進させる効果があります。
皮膚や筋肉に刺鍼すると、その鍼刺激が、脊髄に伝わると同時に、刺激部位付近で血管を拡張させる物質が分泌されます。
個人差がありますが、鍼の刺激部位付近で、皮膚が赤くなる「フレア反応」がみられます。
その皮膚の反応は、軸索反射によるものです。
鍼によって、血行が促進されると、体内に滞っていた老廃物や発痛物質を洗い流し、疲労回復や鎮痛効果を齎してくれます。
さらに、適度な鍼刺激は、リラックス効果を得ることが出来ます。
皮膚や筋肉に鍼刺激を与えると、脳内でのα波やドーパミンが分泌されるといわれております。
患者様の感想になってしまいますが、鍼治療を受けることで、「爽快感が得られた」や「身体が軽くなった」などのご感想を頂きます。
心身のコンディショニングとして、鍼治療を取り入れてみてはいかがでしょうか。
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