仰向けの状態で膝を伸ばすと、腰が過度に反れてしまいます。
そして、膝を伸ばした状態で、シットアップ(腹筋運動)を行うと、腰に過度なストレスが加わり、腰痛の原因になります。
膝を90度に曲げてシットアップを行っているのは、腰への負荷を軽減させる為です。
ヒトの背骨は、S字状のカーブである生理的弯曲を呈しています。
頚椎(首の背骨)と腰椎(腰の背骨)は、前凸のカーブ(前弯)を描いています。
胸椎(胸の背骨)と仙椎(仙骨)は、後凸のカーブ(後弯)を描いています。
そして、骨盤は、やや前側に傾いております。
それらの背骨のカーブや骨盤の傾きによって、身体に加わる衝撃を和らげると同時に、身体全体のバランスがとれているのです。
「骨盤を前傾させる(前側に傾ける)筋肉」と「骨盤を後傾させる(後側に傾ける)筋肉」が相互に働くことで、骨盤の傾きを調節しています。
骨盤を前傾させる筋肉は、腸腰筋(もも上げの筋肉)と大腿直筋(大腿四頭筋の一つ)、及び脊柱起立筋(背骨の両サイドにある筋肉)です。
骨盤を後傾させる筋肉は、腹直筋(シックスパックの筋肉)と殿筋群(お尻の筋肉)です。
それらの筋肉がバランス良く働くことで、適切な骨盤の傾き(やや前側に傾いている状態)を保つことが出来ています。
そして、骨盤や背骨を含めた体幹のバランスがとれているのです。
仰向けの状態で膝を伸ばすと、骨盤が過度に前傾し、腰の背骨(腰椎)の前弯が強くなってしまいます。
腸腰筋が引き伸ばされたことによって、骨盤が前傾してしまったことが、一つの要因として考えられます。
腸腰筋は、骨盤を前傾させる筋肉です。
腸腰筋の作用によって、骨盤が前傾し、それにつられるように腰椎(腰の背骨)の前弯も強くなってしまいます。
そして、腰が過度に反れてしまいます。
骨盤を後傾させる筋肉である腹直筋(シックスパックの筋肉)や殿筋群(お尻の筋肉)に力を入れれば、骨盤の過度の前弯を軽減させることが出来ますが、ここでは脱力した状態を想定して考えています。
膝を伸ばした状態でシットアップを行うと、腰痛の原因になってしまうのです。
腰痛を防ぐ為には、膝を曲げてシットアップを行う必要があります。
シットアップを行う時に、腰が過度に反れることを防ぐことが主な目的です。
仰向けで膝を曲げることで、腸腰筋の突っ張りが和らぎ、過度の骨盤前傾の状態を軽減することが出来ます。
腰へのストレスの軽減につながり、安全にシットアップを行うことが出来るのです。