肘から手首までの部分(前腕)に痛みがあらわれるものには、「上腕骨外側上顆炎(テニス肘)」や「上腕骨内側上顆炎(野球肘)」などの整形外科的疾患があります。
これらの整形外科的疾患は、オーバーユースが原因であるといわれています。
確かに、「上腕骨外側上顆炎」や「上腕骨内側上顆炎」などの前腕の痛みを伴う疾患は、前腕のオーバーユースが原因です。
その他に、動作するときの姿勢にも影響があるのではないかと考えています。
前腕にある筋肉の主な働きは、手首を曲げたり伸ばしたりする動作です。
日常生活で手首を曲げたり伸ばしたりする動作は多いですが、たいていの場合は、手首単体では行われていません。
例えば、地面にある荷物を持ち上げる際、手首を動かしながら、荷物を握って落とさない様に持ち上げます。
荷物を持ち上げる際は、手首のみで行われず、他の身体の部位と協調しながら行っております。
手首の動作を行う際は、体幹が土台となり、肩甲骨から二の腕(上腕骨)、肘関節、前腕、そして手首へと力を伝えていきます。
荷物を持ち上げる動作一つとっても、身体全体の一連の運動連鎖によって、行われているのです。
もし、態勢が崩れた状態で、荷物を持ち上げる動作を行おうとすると、体幹から手首までの力の伝わり方にロスが生じます。
ロスが生じると、必要以上に力を入れなくてはいけません。
その状態が反復的に続くと、それほど多くない作業量でもオーバーユースにつながってしまうのです。
体幹は、建物でいうと一階部分に相当します。
肩甲骨から上腕骨、肘関節、前腕、そして手首は、上層階です。
建物の一階部分に歪みがあると、上層階に上がるにつれて、不安定さが大きくなります。
反対に、建物の土台がしっかりしていると、建物の強度としては盤石な状態です。
身体動作を行う際は、姿勢を意識されることをおすすめいたします。
姿勢の意識付けとして、優先していただきたいことは、「肩甲骨を背骨に寄せること」です。
「リュックを背負ったとき」や「たすき掛けをした状態」のイメージです。
また、肩甲骨を背骨に寄せる意識が強すぎると、腰が過度にそれてしまう「反り腰」になる可能性があります。
肩甲骨を背骨に寄せつつ、目線を少しだけ下に落としていただけると、「反り腰」の防止になります。
目安としましては、15メートル先の地面を見るイメージです。
だいたい25メートルプールの3分の2くらいです。
身体動作を行う際の、ご参考にしていただければ、幸いです。