骨盤の歪みによって、身体全体の骨格バランスが崩れると、効率良く身体を動かすことが出来なくなる可能性があります。
例えば、猫背姿勢は、骨盤の歪みを引き起こし、脚を上げる「もも上げ動作」がしにくくなります。
骨盤の歪みは、身体の動作に影響を及ぼすのです。
腸腰筋と骨盤の歪みについて
もも上げ動作を行う筋肉は、腹筋のインナーマッスルである「腸腰筋」です。
「腸腰筋」と「骨盤の歪み」は、もも上げ動作に、大きく関わってきます。
もも上げ動作の低下は、歩幅を狭くし、「歩行スピードの低下」を引き起こします。
また、「歩行スピードの低下」だけでなく、「すり足歩行」にもなりやすくなる為、つま先が段差に躓きやすくなる可能性も出てきます。
骨盤は、身体全体の土台であり、建物でいうと、一階部分に相当します。
骨盤の歪みは、上層階である太ももや膝関節などにも影響を及ぼし、身体動作の低下につながる可能性が出てきます。
骨盤の歪みを整えることは、身体全体のバランスを良くするだけでなく、効率的な身体動作につながるのです。
また、骨盤の角度は、真っ直ぐに立っているのではなく、やや前傾(骨盤がやや前側に傾いている状態)しています。
骨盤の角度が、やや前傾していることで、身体全体のバランスをとることが出来ております。
骨盤は、わずかではありますが、自動車のハンドルのように、前後方向に回転します。
- 骨盤が前側に回転すると、骨盤が前傾します
- 骨盤が後側に回転すると、骨盤が後傾します
骨盤の角度は、先程お伝えしたように、やや前傾している状態が望ましいです。
ニュートラルな状態(骨盤がやや前傾している状態)から前側に傾くと、腰が過度に反れてしまう「反り腰」になります。
一方、ニュートラルな状態から骨盤が後側に傾くと、背中が丸くなってしまう「猫背」の状態になります。
「腸腰筋」は、腿上げの作用だけでなく、骨盤を前傾させる作用もあります。
骨盤が歪むなどの原因で、「腸腰筋」の機能が低下すると、骨盤の後傾による猫背姿勢になるだけでなく、足が上がりにくくなってしまいます。
結果として、歩幅が狭くなるなど、身体に力が伝わりにくくなり、身体の代謝量の低下にもつながってしまうのです。
身体の動作において、より多くの筋肉を動員させる為には、良い姿勢でいることが大切になってきます。
良い姿勢とは、「腰が反れすぎず、肩甲骨を背骨に寄せた胸が張れている状態」です。
その為には、身体全体の骨格を整えることが大切です。
全体の骨格を調整することで、身体全体の筋肉が働きやすくなります。
そして、良い姿勢が、「短期記憶」から「長期記憶」に定着すると、エネルギーロスが少なく、効率の良い身体動作が可能になるのです。
なぜ、ヒトの背骨がS字状のカーブなのか?
ヒトの背骨は、頚椎(首の背骨)、胸椎(胸の背骨)、腰椎(腰の背骨)、仙椎(仙骨)、尾骨で構成されています。
そして、ヒトの背骨は、真っ直ぐな円柱ではなく、横から見ると、「S字状のカーブ」を描いております。
「S字状のカーブ」によって、身体への衝撃を和らげ、身体全体のバランスをとることができるのです。
背骨の形について、「S字状のカーブではなく、真っ直ぐな円柱でも良いのではないか」と疑問を持たれる方がいらっしゃるかと思います。
「背骨の形状がS字状のカーブになっている」のには、きちんとした理由があります。
S字状のカーブである理由は、
「上からの圧力に対して、力を分散させる効果がある」
です。
例えば、背骨の形状が「真っ直ぐな円柱」である場合、上からの圧力が100%の力で加わってしまいます。
「S字状のカーブ」にすることで、上からの圧力が分散され、衝撃吸収としての役割を果たしてくれます。
つまり、背骨の「S字状のカーブ」は、上からの圧に対して力を分散させる役割があるのです。
「S字状のカーブ」を保つためには、「適切な姿勢」の意識付けが大切です。
例えば、スマートフォン操作などの反復的な前かがみ姿勢は、脊柱の「S字状のカーブ」に歪みを引き起こしてしまう可能性があります。
「S字状のカーブ」の歪みは、身体全体のアンバランスを引き起こし、首や背中、そして腰などの部位に負荷がかかりやすくなるのです。
そのような状態が続くことで、反復的なストレスが加わり、「腰痛」た「首の痛み」などにつながってしまいます。
背骨の「S字状のカーブ」を保つためには、「適切な姿勢」でいることが大切なのです。
適切な姿勢には、「適切な座り方」と「適切な立ち方」があります。
- 適切な座り方のポイントは、「腰を反りすぎず、胸を張り、目線を真っすぐ向け、椅子に対して直角に骨盤を立てて座る」です
- 適切な立ち方のポイントは、「腰を反りすぎず、目線を真っすぐ向け、胸を張る意識を持つ」です。
「適切な座り方」と「適切な立ち方」に共通していえることは、「腰を反りすぎず、目線を真っすぐ向け、胸を張る意識を持つこと」です。
直立二足歩行には、背骨のカーブが大切です
直立二足歩行であるヒトは、両手を自由自在に扱いながら、スムーズに歩行することが可能です。
このような動きが出来るのは、地球上の生物では、ヒト以外は存在しません。
ヒトは、進化の過程で、両手を自由に扱えるようになりました。
脳も発達し、高度な知性というアイデンティティを獲得することで、高度な文明を築くことが出来ました。
ありがたいことに、その恩恵を十分に受けることが出来ております。
その環境に感謝しながら、日々の生活を送っていきたいものです。
しかし、直立二足歩行を獲得したことは、メリットばかりではありません。
デメリットの一つとして、「四足歩行」から「直立二足歩行」に進化したことで、「支持基底面」が狭くなったことです。
その影響で、身体の構造は、力学的に不安定な状態になってしまいました。
「支持基底面」とは、地面に接地しているときの「両足の面積」です。
例えば、犬や猫などは、「四足歩行」である為、「支持基底面」は長方形です。
ヒトに比べると、安定感があります。
「支持基底面」が狭いヒトが、直立二足歩行に適応する為に、背骨の形をS字状のカーブにし、身体全体のバランスをとる必要性がでてきました。
直立二足歩行を維持するだけであれば、背骨の形をわざわざ「S字状のカーブ」にせず、「真っすぐな形で良いのではないか」という考えもあるかと思います。
背骨の形を「S字状のカーブ」にしたのは、「衝撃吸収としてのサスペンション機能」を得る必要があったのではないかといわれております。
衝撃吸収機能を得ることで、よりスムーズな「直立二足歩行」が可能になったのです。
ヒトの身体は、本当に良く出来ているなと感じております。
直立二足歩行を維持する為には、適切な背骨の「S字状のカーブ(生理的弯曲)」を描くことが大切です。
「生理的弯曲」とは、「首の背骨(頚椎)」と「腰の背骨(腰椎)」では、前凸のカーブ(前弯)、「胸の背骨(胸椎)」と「仙椎(仙骨)」では、後凸のカーブ(後弯)を描いている背骨の状態です。
例えば、反復的な前かがみ姿勢などが原因で「生理的弯曲」が崩れてしまうと、「首」や「背中」などに過度なストレスが加わってしまいます。
「生理的弯曲」を保つことが、身体のコンディションを維持する上で、最も大切であると考えております。
その目的を実現する為に、電気治療なマッサージなど、さまざまな治療法が存在します。
その中でも、「鍼治療」と「骨格調整」の併用が有効であると考えています。
鍼は、硬くなった筋肉を和らげ、そして痛みを軽減させる効果があります。
また、鍼は、血行を良くし、そして自律神経のバランスを整える効果もあるといわれております。
そして、全身の骨格を調整し、身体全体の骨格バランスを整えることも大切であると考えております。
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