坐骨神経痛は、お尻から足にかけての痛みやしびれの症状が多くみられる傾向があります。
そして、お尻の筋肉が硬くなっていることが多く、慢性的な腰痛で悩まされている方もいらっしゃいます。
ヒトのお尻の筋肉は、直立二足歩行を円滑に行う上で、大切な筋肉であり、犬や猫などの四足動物に比べて、非常に発達していることが特徴です。
しかし、直立二足歩行であるヒトにとって、お尻の筋肉への負荷は、非常に大きなものになっております。
お尻の筋肉の中でも、お尻のインナーマッスルである梨状筋は、坐骨神経痛との関わりが大きいといわれております。
坐骨神経痛を伴う腰痛
坐骨神経は、腰椎(腰の背骨)と仙椎(仙骨)から出る末梢神経であり、お尻の深くを走行する太い神経です。
また、坐骨神経は、お尻のインナーマッスルである梨状筋の近くを走行しています。
お尻への負荷によって、梨状筋が硬くなると、近くにある坐骨神経を圧迫する可能性が出てきます。
坐骨神経が圧迫されると、お尻、もも裏、ふくらはぎ、そして足裏の痛みやシビれなどを伴う坐骨神経痛につながるのです。
坐骨神経痛は、症状の名前であり、病名ではありません。
例えば、医療機関から「腰椎椎間板ヘルニア」や「腰部脊柱管狭窄症」の診断を受けた方でも、坐骨神経痛の症状を伴っている可能性があります。
坐骨神経痛と腰部の疾患とは、密接に関係しているのです。
鍼は、坐骨神経痛の症状に対して、有効な方法であると考えています。
坐骨神経痛と関係のある梨状筋は、お尻の奥深くを走行しています。
硬くなった梨状筋を和らげることは、坐骨神経痛の症状を軽減させる為に、有効な方法です。
鍼は、奥深くまで刺入することが出来る為、梨状筋への直接のアプローチが可能です。
また、鍼は、筋肉の痛みや硬さの軽減だけでなく、筋肉の血行を良くする効果もあります。
筋肉のコンディションを高める方法として、鍼は有効な治療法なのです。
さらに、鍼治療は、「腰椎椎間板ヘルニア」や「腰部脊柱管狭窄症」によって出現する腰痛や坐骨神経痛などの症状緩和にも有効です。
鍼では、「腰椎椎間板ヘルニア」や「腰部脊柱管狭窄症」を治すことは出来ません。
しかし、症状の程度によりますが、腰痛や坐骨神経痛などの症状を和らげることは可能です。
たとえ、「腰椎椎間板ヘルニア」や「腰部脊柱管狭窄症」が治らなくても、それらに伴う症状を和らげることが出来れば、生活の質の向上につながると考えております。
梨状筋症候群への鍼治療
坐骨神経痛でお悩みの方の多くは、お尻の筋肉が硬くなっている傾向があります。
お尻の筋肉の中でも、お尻の奥深くを走行している「梨状筋」という筋肉が坐骨神経痛と大きく関わっているといわれております。
坐骨神経は、腰椎(腰の背骨)と仙椎(仙骨)から出ている脊髄神経です。
坐骨神経は、背骨から出て、お尻の奥深くを走行し、神経の名前を変えながら、もも裏、ふくらはぎ、そして足裏へとつながっている非常に太くて長い神経です。
また、坐骨神経は、お尻の奥深くにある梨状筋の近くを走行しております。
梨状筋が硬くなると、その梨状筋が坐骨神経を圧迫し、お尻やもも裏、ふくらはぎ、そして足裏にかけての痛みやシビれを引き起こす可能性が出てきます。
そのように、坐骨神経が圧迫されることによって起こることを「梨状筋症候群」と呼ばれております。
坐骨神経痛と梨状筋は、大きく関係しているのです。
さて、骨盤の歪みによっても、梨状筋症候群を引き起こすケースもあります。
骨盤の傾きは、地面に対して直角に立っているのではなく、やや前側に傾いております(骨盤がやや前傾している状態です)。
骨盤の上に、S字状のカーブを描いている背骨が乗ることで、身体全体のバランスをとることが出来ております。
例えば、猫背などの反復的な前かがみ姿勢などが原因で、骨盤が歪むと、お尻の筋肉に持続的なストレスが加わります。
お尻の筋肉の多くは、骨盤に付着しております。
骨盤の歪みによって、お尻の筋肉が緊張状態となり、奥深くを走行している梨状筋にも影響が出てきます。
梨状筋の緊張は、近くを走行している坐骨神経を圧迫し、坐骨神経痛につながる可能性が出てくるのです。
骨盤の歪みを調整し、骨盤の傾きをニュートラルな状態にすることが大切です。
梨状筋の緊張を和らげる方法として、骨盤の歪みを調整する他にも、鍼治療が有効です。
鍼は、筋肉の緊張や痛みを軽減させる効果があります。
また、鍼の刺激部位付近で、血行を促進される効果もあります。
梨状筋は、お尻の表面でなく、お尻の奥深くを走行しています。
鍼は、体内に刺入することが出来るため、直接、梨状筋へのアプローチが可能です。
鍼治療が、坐骨神経痛の治療に有効である理由の一つです。
また、坐骨神経痛によって、慢性的な痛みでお悩みの方の多くは、交感神経が優位になっている傾向があります。
交感神経が優位になると、筋肉の緊張状態を引き起こし、さらなる筋肉の緊張を引き起こします。
交感神経優位による筋肉の緊張のスパイラルを断つためには、副交感神経を優位とし、心身をリラックスすることが大切になってきます。
心地良い鍼刺激は、副交感神経を優位とし、快楽物質である「ドーパミン」が体内で分泌されるといわれております。
鍼には、心身のリラクゼーション効果があるのです。
腰とお尻の痛みの原因である坐骨神経痛
ヒトは、地球上で唯一の直立二足歩行の動物です。
進化の過程で、直立二足歩行を獲得したことで、両手が使えるようになりました。
また、脳が発達したことで「高度な知性」を得ることが出来ました。
「高度な知性」は、ヒトのアイデンティティともいえます。
ヒトの身体の大きな特徴は、犬や猫などの四足動物に比べて、お尻の筋肉が発達しているところです。
二本の足で自分の体重を支え続ける為に、進化の過程で、お尻の筋肉が発達したのではないかといわれております。
お尻の筋肉である「殿筋」の作用は、主に股関節を動かします。
2本の足で歩行をしたり、段差を乗り越えたり、そして片足でバランスを取ったりするなどの動作は、お尻の筋肉が発達していないと出来ない動作です。
犬や猫などの四足動物は、直立二足歩行を行うことは出来ません。
地球上の生物でこれらの動きが出来るのは、ヒトのみであり、お尻の筋肉が発達しているからこそ可能なのです。
股関節は、肩関節に次いで、関節の可動域が大きい関節です。
足を地面に接地しながら、股関節を器用に動かすことが出来るのは、お尻の筋肉のおかげです。
しかし、直立二足歩行を維持する為には、どうしてもお尻の筋肉に強いストレスが加わります。
直立二足歩行であるヒトは、お尻の筋肉が硬くなりやすい身体の構造なのです。
また、腰への負荷が非常に大きくなり、慢性的な腰痛で悩まされているか方も多くいらっしゃいます。
身体の構造上、お尻だけでなく、腰の筋肉にも強い負荷がかかっているのです。
四足動物の中で、慢性的な腰痛を抱えている動物はほとんどいません。
例えば、ミニチュアダックスフンドは、胴体が長い為、腰痛になり易いといわれていますが、ヒトよりは発症率が高くないです。
なぜなら、四本の足で身体を支えることが出来ているからです。
しかし、直立二足歩行を獲得したヒトは、今更四足歩行に戻るわけにはいけません。
これからも、ヒトは、腰や股関節の痛みと上手に付き合う必要があります。
さらに、慢性的な腰痛やお尻に痛みでお悩みの方の多くは、坐骨神経痛の症状を訴える傾向があります。
坐骨神経痛の代表的な症状は、お尻から足にかけての痛みやしびれです。
坐骨神経は、腰の背骨(腰椎)と仙骨(仙椎)から出て、お尻の筋肉の奥深くを走行する末梢神経です。
慢性的な腰痛やお尻の筋肉の硬さによって、坐骨神経痛が出現しやすくなるのです。
その足の痛み、坐骨神経痛の症状かもしれません
捻挫や打撲などのケガをした心当たりが無いのに、下半身に痛みが出現している場合、坐骨神経痛による症状かもしれません。
下半身への痛みの症状として、坐骨神経痛によるものが多く、太ももやふくらはぎなどの下半身に痛みや痺れを訴えることが多くみられます。
坐骨神経は、腰の背骨(腰椎)と仙骨(仙椎)から出る脊髄神経(L4、L5、L1~L3)です。
背骨から始まり、途中で神経の名前を変えながら、「お尻」、「もも裏」、「ふくらはぎ」、そして「足裏」まで走行する長い神経です。
坐骨神経は、「太もも」や「ふくらはぎ」、そして「足」などの運動や感覚を支配しています。
坐骨神経痛は、神経の走行から見ても、腰やお尻だけでなく、下半身に痛みやシビれを訴えることが多いです。
また、坐骨神経痛は、病名でなく、症状の名前です。
「腰椎椎間板ヘルニア」や「腰部脊柱管狭窄症」などが原因で、坐骨神経痛に伴う症状が出現することがあります。
坐骨神経痛は、腰痛などの腰部周りの疾患と密接に関わっているのです。
慢性的な腰痛によって、症状が出現する身体の部位には、大きく分けて、3つのパターンがあります。
- 「腰」のみが痛くなる場合
- 「腰」は痛くないけれど、お尻や脚などの「下半身」のみが痛くなる場合
- 「腰」とお尻や脚などの「下半身」の両方が痛くなる場合
非常に紛らわしいのですが、身体を診させていただければ、どこに原因があるのかを推測することが可能です。
そのお尻の痛み、長時間のデスクワークが原因かも
慢性的な坐骨神経痛でお悩みの方、お仕事や勉強などでの長時間のデスクワークが原因かもしれません。
坐骨神経は、腰椎(腰の背骨)と仙椎(仙骨)から出る末梢神経です。
坐骨神経は、腰椎や仙椎からはじまり、骨盤、太もも、ふくらはぎ、そして足先まで神経の名前を変えながら、走行する非常に太くて長い神経です。
骨盤から足先まで一本でつながっている為、坐骨神経痛によって出現する身体の部位は、広範囲です。
坐骨神経痛の症状の中でも、下半身に痛みが出現することがあります。
捻ったりぶつけたりした記憶が無く、お尻、太もも裏や膝、ふくらはぎ、そして足に痛みなどがある場合は、坐骨神経痛に伴う症状かもしれません。
坐骨神経痛は、病名では無く、身体にあらわれる症状名です。
例えば、腰椎椎間板ヘルニアが原因で、坐骨神経痛に伴う症状が出現することがあります。
また、坐骨神経痛は、お尻の筋肉が硬くなっているケースが多いです。
お尻の筋肉の深くには、「梨状筋」と呼ばれる小さな筋肉があります。
「梨状筋」は、骨盤を横方向に横断する筋肉で、坐骨神経の近くを走行しています。
長時間のデスクワークなどで、お尻が圧迫されると、お尻全体の筋肉が硬くなります。
「梨状筋」も硬くなり、坐骨神経を圧迫し、坐骨神経痛の症状を引き起こす可能性が出てきます。
坐骨神経痛の症状が出ている方の多くは、腰にも負荷が加わっている傾向があるます。
長時間のデスクワークによって、坐骨神経痛に伴う症状が出現しやすくなるのです。
対処法としましては、長時間のデスクワークによって、身体全体が硬くなっている可能性があるので、こまめにイスから立ち上がって背伸びをしていただくことをおすすめします。
仕事や勉強などで、背伸びが出来るスペースが限られると思いますが、出来る限り、筋肉に適度な刺激を送り、少しでも血行を高めていただけたらと思います。
ご自宅では、お尻のストレッチを行うことをおすすめします。
一日の歩行移動やデスクワークなどで、お尻の筋肉が特に硬くなっていることが考えられます。
全身のストレッチを行っていただくことが理想的です。
まず、お尻の筋肉のストレッチを優先して行っていただき、もし余裕がでてきたら、全身のストレッチを行っていただければ、理想的です。
鍼は、坐骨神経痛の治療法として、有効です。
坐骨神経痛と関係のある「坐骨神経」や「梨状筋」は、身体の表面ではなく、身体の深部を走行しています。
鍼は、体内に刺入することが出来る為、身体の奥深くにある「坐骨神経」や「梨状筋」にアプローチすることが可能です。
坐骨神経痛と鍼治療は、非常に相性が良いのです。
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