慢性的な背中の痛みで悩まされている方の多くは、日常的に前かがみの姿勢である傾向があります。
前かがみの姿勢の時の頭の位置は、真横から見ると、前方にスライドしています。
頭の重さは、体重の約10%といわれており、体重が60kgの人であれば、頭の重さは、約6kgです。
頭の位置が前側にスライドした際、その頭の重さを背中の筋肉で支える必要が出てきます。
そして、前方にスライドした頭の重さによるモーメントは、支える側の背中にとって、大きな負荷となります。
例えば、シーソーでも中心から遠くの位置に座ったほうが軽い体重でも、シーソーが沈みやすいです。
つまり、頭の位置が重心線の位置から離れるほど、背中にかかる負荷が大きくなるのです。
頭の重さによって、背中に持続的な負荷が加わることで、背中の筋肉の硬さや痛みにつながる可能性が出てきます。
また、反復的な前かがみ姿勢は、巻き肩になるケースが多いです。
巻き肩とは、肩が内側に入る状態であり、肩甲骨も外側に開いてしまいます。
肩甲骨が外側に開いてしまうと、背中の筋肉にストレスが加わり、筋肉の痛みや硬さの原因になるのです。
背中へのストレスを最小限にするためには、胸を張り、肩甲骨を背骨に寄せていることが望ましいです。
背中の痛みを軽減させる為には、胸を張り、肩甲骨を背骨に寄せやすくする身体の環境にすることが最も大切です。
しかし、筋肉の硬さや痛みがある状態で、胸を張る姿勢を行うことは、難しくなります。
胸を張る姿勢を行いやすくする為に、筋肉のコンディショニングを欠かすことが出来ません。
筋肉は、身体の動力源である為、良い動作づくりの為には、コンディションの良い筋肉にすることが必要になってくるのです。
鍼は、筋肉の痛みや硬さを軽減する効果があります。
また、筋肉の血流量を増加することが出来、滞っている発痛物質や老廃物を洗い出す効果があります。
身体全体の骨格を調整することも大切ですが、身体の動力源である筋肉の環境を良くすることも大切です。
鍼は、筋肉のコンディションを高める方法として、非常に有効な方法です。
鍼治療を行い、背中の筋肉の硬さや痛みが軽減すると、肩甲骨を背骨に寄せるなど、背中の筋肉が動かしやすくなります。
筋肉のコンディショニング、身体全体の骨格の調整、そして適度な運動による過不足のない身体への刺激などをしっかりと行うことが、長期的な健康を獲得する良い方法であると考えています。
慢性的な筋肉の痛みでお悩みの方、鍼治療を検討されてみてはいかがでしょうか。