痛いところを優しく撫でることで、その痛みが少しだけ和らぐのは、多くの方が経験したことがあるかと思います。
撫でることによる鎮痛効果は、気のせいではなく、しっかりとした根拠があります。
脊髄分節性鎮痛による生体反応です。
脊髄分節性鎮痛とは、痛みがある場所を撫でられた際に、その皮膚に存在する触圧受容器が興奮することによって、痛みの興奮が抑制されることです。
触圧受容器とは、感覚受容器の一つであり、撫でられたり、適度な圧で皮膚を押された時に興奮する感覚のセンサーです。
感覚受容器は、皮膚に何かしらの刺激が加わった時に反応するセンサーであり、触圧覚の他に、温覚、冷覚、痛覚などがあります。
皮膚を優しく撫でたり、適度な指圧などを行うマッサージは、触圧受容器を興奮させて、脊髄分節性鎮痛を促す施術です。
マッサージをすることで、痛みが軽減する身体の反応は、脊髄分節性鎮痛によるものなのです。
触圧覚としての皮膚刺激を与える目的でマッサージを行う際は、適度な強さの指圧することが大切であると考えています。
また、脊髄分節性鎮痛に関連する用語として、ゲート・コントロール説があります。
ゲート・コントロール説は、脊髄分節性鎮痛を説明する機序として、有力とされていた説です。
ゲート・コントロール説とは、背骨の中を通る脊髄に中に、痛覚刺激を抑えるゲート(門)が存在し、そのゲートが痛みの興奮を抑えているという学説です。
ゲート・コントロール説が提唱された当時は、有力な説として取り上げられていました。
しかし、そのような説が存在しないことが判明され、現在は、ゲート・コントロール説は、否定されています。
しかし、脊髄分節性鎮痛による生体反応については、肯定されているので、優しくなでることによる痛みの鎮痛効果は、間違いなく存在します。
ゲート・コントロール説が間違っている説であるのにも関わらず、現在の専門書や教科書には記載されています。
なぜ、ゲート・コントロール説が取り上げられているかというと、現在普及している低周波治療器がゲート・コントロール説をもとに開発されたからであるといわれています。
低周波治療器は、脊髄分節性鎮痛の生体反応を利用した治療法であり、幅広く利用されています。
また、刺さない鍼(てい鍼、ローラー鍼など)による手技も脊髄分節性鎮痛を利用した鍼治療です。
繰り返しになりますが、マッサージや低周波治療器、そして刺さない鍼による手技は、脊髄分節性鎮痛の機序を利用した施術なのです。
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