正しい姿勢を行う際、多くの方は胸を張る意識を持たれているかと思います。
しかし、正しい姿勢を意識しているのに、かえって腰が痛くなってしまう患者様もいらっしゃいます。
患者様の座り方を診させていただくと、多くの方は、「反り腰」になっています。
「反り腰」は、言葉のとおり、腰が反れている状態です。
「反り腰」は、骨盤が前側に傾いている「骨盤前傾」の状態にあります。
骨盤が過度に前傾してしまうと、腰の背骨(腰椎)が前弯している状態(前側凸の弯曲状態)になってしまいます。
「反り腰」を確認する簡易的な方法としては、壁に背中をつけて立った状態で、「腰と壁の距離」を確認します。
「腰と壁の距離」は、自分の手のひらの厚さぐらいの長さが良いといわれています。
「腰と壁の距離」が自分の手のひらよりも長く、余裕で自分の手のひらが通過してしまう場合は、「反り腰」である可能性があります。
反復的に腰が反れている状態が続くと、腰に負荷が加わり、腰痛の原因となります。
腰が反れている状態は、「お腹側」と「背中側」の筋肉が働きにくい環境にあります。
これらの筋力が発揮しにくくなると、体幹を支えにくくなり、腰に負担がかかってしまうのです。
「反り腰」が腰に負担がかかる理由の一つです。
体幹を支える為には、「お腹側」と「背中側」の筋肉がバランス良く機能している状態が望ましいです。
そして、筋肉を効果的に収縮させる為には、筋肉(腱)が付着する骨格の位置関係が整っていることが理想的です。
筋肉は、ゴムに例えることが出来ます。
ゴムは、ゴムの張力が十分に発揮する為には、ゴムの長さが緩すぎず、そして緊張しすぎていない状態であることが望ましいです。
ゴムの長さが緩かったり、緊張していたりすると、ゴム本来の張力を十分に発揮することが出来ません。
ゴムと同様に、筋肉も同じことが言えます。
骨の位置があるべきところにないと、本来の筋肉の力を発揮することが出来ないのです。
「反り腰」の場合は、腰の背骨が過度に反れている状態です。
「お腹側の筋肉」の筋長が長く、そして「背中側の筋肉」の筋長が短くなっている状態です。
両方とも、あるべき筋肉の長さではない為、筋肉としての本来の力を発揮させることが出来ません。
正しい姿勢を意識されるのは、非常に良いことなのですが、胸を張りすぎて、かえって腰に負荷がかかってしまうのです。
そこで、患者様には「目線を少しだけ下に落とすこと」をご提案しています。
約15m先の地面を見るイメージです。
だいたい25mプールの半分より少し先です。
目線を少しだけ下に落とすだけでも、反り腰が和らぎます。
正しい姿勢を行ってみて、腰が痛くなる方、目線をチェックしてみることをおすすめいたします。