下半身のトレーニングの代表的な種目として、「スクワット」があります。「スクワット」は、お尻の「大殿筋」と太ももの「大腿四頭筋」を主に鍛えることが出来ます。「大殿筋」や「大腿四頭筋」だけでなく、体幹を支える筋肉も鍛えることが可能です。「スクワット」は、上半身の一部を除く、身体のほとんどの筋肉を鍛える事が出来ます。
身体の痛みが特になく、数多くのトレーニングの中からどれか一つ選択するのであれば、「スクワット」をおすすめしています。「スクワット」は「キングオブエクササイズ」とも呼ばれているくらい優れたトレーニング種目なのです。
スクワットの中には、「四股スクワット」と呼ばれるスクワットがあります。「四股スクワット」は、お相撲さんが行っている「四股立ち」で行うスクワットです。「四股スクワット」は、従来のノーマルスクワットにはない効果があります。
ここでは、「四股スクワット」の効果について、お伝えしていきます。
【効果その1】腰への負荷が軽減できます
「スクワット」を行うと、腰に痛みがでてしまう方がいらっしゃいます。
フォームを確認させていただくと、「スクワット」でしゃがんだ際に背中が丸くなったり、動作中に反り腰になっていたりするケースが多いです。
「スクワット(ノーマルスクワット)」で腰の痛みが改善されない場合は、「ノーマルスクワット」の代替種目の一つである「四股スクワット」をおすすめしています。
「四股スクワット」は、お相撲さんが行う「四股踏み」の立ち方である「四股立ち」でスクワットを行います。
「四股スクワット」で鍛えられる筋肉は、「ノーマルスクワット」と同様、下半身の筋肉です。
「四股スクワット」は、「ノーマルスクワット」の比べて体幹を前傾させない為、腰への負荷が少ないことが利点です。
「ノーマルスクワット」は、腰への負荷が大きくなるから、そもそもやらなければいいではないかとのご意見もあるかと思います。
しかし、「四股スクワット」にもデメリットがあります。
「四股スクワット」では、バーベルが扱いにくくなるところです。
「四股スクワット」は、「ノーマルスクワット」に比べて、足幅が広くなり、バーベルを担ぐと不安定さが増します。
バーベルでの「四股スクワット」は、どうしても重量が落ちてしまいます。
バーベルでスクワットを行う際は、「ノーマルスクワット」の方が軍配が上がります。
自重でスクワットを行う際は、「四股スクワット」はデメリットは見当たりませんので、腰への負担を考えれば、「四股スクワット」をおすすめいたします。
「四股スクワット」を行う際の基本的な立ち方は、「四股立ち」です。
- 足幅は、肩幅の1.5倍から2倍程度に広げます
- つま先の向きは、外側に45度広げるハの字です
- 「膝のお皿」と「足のつま先」の向きを合わせながら、腰を真っすぐ落とします
- 10cm~20cmほど腰が下がったら、再び立ち上がります
この一連の動作が「四股スクワット」です。
「四股スクワット」を行う際、最初から深くまで腰を落とす必要はありません。
動作に慣れるまでは、浅めで行うことをおすすめします。
文章だけだと、お伝えできない部分があります。
「四股スクワット」という「ノーマルスクワット」の代替種目があると認識していただければ、幸いです。
実際に、「四股スクワット」を取り入れたい場合は、自己流で行わず、専門家の方に教わりながら行うことをおすすめいたします。
【効果その2】お尻の筋肉の活動量が高くなります
四股スクワットは、お尻の筋肉の活動量を高めてくれます。
また、四股スクワットは、腰への負荷を軽減することが出来るのも利点です。
お尻の筋肉は、身体の中でも大きな筋肉であり、股関節を動かす作用があります。
そして、直立二足歩行であるヒトは、四足動物に比べて、お尻の筋肉が非常に発達しています。
二本の足で直立を維持する為には、お尻の筋肉の関与が大きく、お尻の筋肉が硬くなってしまうことが多いです。
お尻の筋肉が硬くなると、坐骨神経痛の症状を引き起こし易くなるのです。
坐骨神経は、お尻の奥深くを走行する非常に太い神経です。
そこから神経の名前を変えながら、もも裏やふくらはぎ、そして足まで達します。
坐骨神経痛は、お尻からもも裏、ふくらはぎ、そして足にまで痛みやシビれが出現する可能性があります。
坐骨神経痛は、腰椎由来(腰椎椎間板ヘルニアなど)などの原因がありますが、お尻の筋肉が硬くなったことによって引き起こされるケースも多くみられます。
お尻の筋肉の中でも、お尻のインナーマッスルである「梨状筋」が坐骨神経痛との関りが大きいといわれております。
「梨状筋」は、解剖学的に坐骨神経の近くにある筋肉です。
「梨状筋」が硬くなると、坐骨神経を圧迫し、坐骨神経痛による症状が出現してしまうのです。
「梨状筋」は、深層外旋六筋の一つです。
深層外旋六筋とは、股関節を外側に回旋する(股関節の外旋)六つのお尻のインナーマッスルです。
股関節の外旋動作は、平行立ちの状態から、つま先を外側に向ける(外側のハの字)動作です。
四股スクワットは、四股立ちの状態で行うスクワットであり、股関節の外旋動作を伴います。
四股立ちは、肩幅の約1.5倍~2倍の足幅で、つま先を外側に向ける立ち方です。
四股立ちを行うと、股関節が外旋されるのです。
四股立ちの状態でスクワット動作を行うと、梨状筋を含めた深層外旋六筋を効果的に動かすことが出来ます。
一般的に、筋肉は適度な刺激を加えることが必要です。
筋肉を動かさない状態が続くと、筋肉が硬くなり、場合によっては痛みを引き起こす原因になります。
ヒトは動く動物である為、筋肉に適度な刺激を加えることで、コンディションの維持にもつながります。
四股スクワットを行うことで、お尻全体の筋肉に刺激を加えることが出来ます。
坐骨神経痛の治療については、医療機関で治療することをおすすめします。
あくまでも、四股スクワットは、予防を含めた補助的な方法として、捉えていただければ幸いです。
【効果その3】ノーマルスクワットとの違い
四股スクワットは、四股立ちで行うスクワットであり、主にお尻や太ももの筋肉を鍛えることが出来る下半身トレーニングです。
四股立ちは、相撲の四股を踏むときの立ち方です。
足幅は、肩幅の1.5~2倍位とし、つま先の方向は、外側に斜め45度とします。
四股立ちの際は、膝関節が内側に入らないように立つことがポイントです。
下半身の筋肉は、上半身の筋肉と比べて大きな筋肉が多く、全身の筋肉量の60~70%といわれております。
基礎代謝量は、筋肉量に比例しており、基礎代謝量が高ければ高いほど、脂肪燃焼効果も高くなります。
筋肉には、身体を温める効果がある為、全身の筋肉量が増えると、冷えの改善の助けにもなります。
筋肉量の比率が高い下半身のトレーニングを行った方が、基礎代謝量を高めるのに効果的なのです。
また、筋肉が大きくなると、毛細血管の量が増えるといわれており、筋肉量を増やすことは、健康増進にもつながります。
四股スクワットは、ノーマルスクワット(足幅を肩幅で行うスクワット)にはない利点があります。
四股スクワットの最大の利点は、スクワット動作での腰への負荷が軽減出来ることです。
スクワットの際に、腰を痛める最大の原因は、バットウィンクです。
バットウィンクとは、スクワットのボトムポジションで背中が丸くなる状態です。
背中が丸くなることで、腰へのストレスが強くなり、腰痛を引き起こす可能性が高くなるのです。
四股スクワットは、足幅を広げて行うスクワットである為、バットウィンクになる可能性が低いです。
四股スクワットは、腰への負荷を軽減することが出来るのです。
さて、ノーマルスクワットは、主に太ももの筋肉である「大殿筋」と太ももの筋肉である「大腿四頭筋」を鍛えることが出来ます。
四股スクワットは、「大殿筋」や「大腿四頭筋」の他にも、内ももの筋肉である「内転筋」を鍛えることが出来ます。
内転筋は、マシントレーニングでないと鍛えることが難しい筋肉ですが、四股スクワットであれば、内転筋にも刺激を与えることが可能です。
四股スクワットは、より多くの下半身の筋肉を動員することが出来るのです。
それでは、ノーマルスクワットは、四股スクワットより劣るのかというと、そうではありません。
四股スクワットにも、デメリットはあります。
それは、ノーマルスクワットに比べて、高重量のバーベルが扱いにくいことです。
四股スクワットは、足幅が広くなるため、バーベルを扱う重量は、どうしても軽くなります。
高重量のバーベルでスクワットを行うのであれば、ノーマルスクワットです。
四股スクワットとノーマルスクワットには、それぞれに優れた部分があります。
四股スクワットとノーマルスクワットの特徴を把握し、それらのスクワットを上手に使い分けることが大切であると考えております。
四股スクワットについての関連記事
.png)
.png)
.png)