上腕骨外側上顆炎(テニス肘)や上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)は、肘関節まわりで多くみられる整形学的な疾患です。
日常動作やスポーツ活動の際のオーバーユースが主な原因であるといわれています。
「鍼治療」などで痛みや炎症を和らげ、サポーター等で「患部を安静させること」が一般的な治療法です。
患部を安静させる為には、手首の動きを制限させるサポーターの着用が望ましいです。
「身体全体の骨格バランス」も大きく影響していると考えております。
「鍼治療」と「骨格アライメント(骨や関節の並び方)の調整」、そして「患部の安静」が治療をする上で大切です。
また、未就学児に多い肘内障への施術の考え方について、お伝えしていきます。
バックハンドテニス肘とフォアハンドテニス肘
テニス肘には、バックハンドテニス肘とフォアハンドテニス肘があります。
バックハンドテニス肘の方が発症することが圧倒的に多い為、一般的にテニス肘といえば、バックハンドテニス肘を指します。
バックハンドテニス肘の正式な名称は、上腕骨外側上顆炎です。
上腕骨外側上顆炎は、手の甲側に手首を返す(手関節の伸展)動作が反復的に行われた際に、肘の外側付近の筋肉に痛みや炎症が出現する整形学的疾患です。
手の甲側に手首を返す(手関節の伸展)筋肉は、前腕の後面を走行し、それら複数の筋肉が束になって、肘の外側付近(上腕骨外側上顆)に付着します。
手関節の伸展動作が反復的に続くと、筋肉の付着部である上腕骨外側上顆に集中して負荷が加わることで、痛みや炎症が出現してしまうのです。
バックハンドストロークを行う際、手首が手の甲側に動きやすくなる傾向がある為、上腕骨外側上顆炎がバックハンドテニス肘と呼ばれています。
一方、フォアハンドテニス肘の正式名称は、上腕骨内側上顆炎です。
上腕骨外側上顆炎は、ゴルフ肘ともいわれています。
上腕骨内側上顆炎は、手のひら側に手首を曲げる(手関節の屈曲)動作が反復的に行われた際に、肘の内側付近(上腕骨内側上顆)に痛みや炎症が出現する整形学的疾患です。
手のひら側に手首を曲げる(手関節の屈曲)筋肉は、前腕の前面を走行し、それらの筋肉が束になって、上腕骨内側上顆に付着します。
手関節の屈曲動作が反復的に繰り返されると、筋肉の付着部である上腕骨内側上顆にストレスが加わり、痛みや炎症につながる可能性があります。
フォアハンドストロークやゴルフのスイング動作の際に、手のひら側に手首が曲がりやすくなる為、上腕骨内側上顆炎がフォアハンドテニス肘やゴルフ肘などと呼ばれております。
バックハンドテニス肘とフォアハンドテニス肘の発症に共通していえることは、手首の動きのオーバーユースです。
それらの痛みや炎症を和らげる為には、手首の動きを制限し、患部を休ませることが大切です。
手首の動きを制限するサポーターの着用をおすすめします。
また、バックハンドテニス肘とフォアハンドテニス肘の施術として、鍼が有効であると考えています。
鍼は、筋肉の痛みや炎症を軽減させる効果があります。
また、鍼は患部の筋肉に直接施術することも出来ます。
バックハンドテニス肘やフォアハンドテニス肘でお悩みの方、鍼治療を選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。
キーボード操作とバックハンドテニス肘
上腕骨外側上顆炎(バックハンドテニス肘)は、手首を返す(手関節の伸展)動きが反復的に続くことによって、肘の外側付近(上腕骨外側上顆)に痛みや炎症を引き起こす整形外科的な疾患です。
手首を返す(手関節の伸展)の筋肉は、前腕の後面にあり、その筋肉が腱となって、肘の外側付近(上腕骨外側上顆)に付着します。
一般的に、腱と骨が付着する部位は、力学的にストレスが加わり易くなっております。
そのストレスが持続的に加わることで、痛みや炎症につながります。
手首を返す(手関節の伸展)筋肉が腱となって付着する部位は、肘の外側付近(上腕骨外側上顆)です。
手首を返す動作が反復的に行われると、肘の外側付近(上腕骨外側上顆)に局所的なストレスが加わります。
反復的な手首をかえす動作によって、肘の外側付近(上腕骨外側上顆)に痛みや炎症を引き起こす上腕骨外側上顆炎を引き起こしてしまうのです。
テニスのバックハンドストロークは、手首が手の甲側に動きやすくなる(手関節の伸展)傾向があります。
上腕骨外側上顆炎は、反復的なバックハンドストロークによって、出現しやすいといわれております。
余談にはなりますが、テニス肘には、バックハンドテニス肘の他に、フォアハンドテニス肘(上腕骨内側上顆炎)があります。
発生頻度は、フォアハンドテニス肘よりも、バックハンドテニス肘(上腕骨外側上顆炎)の方が多いです。
その為、テニス肘といえば、バックハンドテニス肘のことを指しております。
また、パソコン作業で日常的にキーボード操作をされている方にも、バックハンドテニス肘(上腕骨外側上顆炎)が出現しやすいといわれております。
キーボード操作とテニスのバックハンドストロークとでは、全く関係ないと思われるかもしれませんが、それらの動作には共通点があります。
キーボード操作を行う際、ほとんどの方は手首をキーボードの手前に置き、手首を返しながら(手関節を伸展しながら)のタイプ打ちを行っています。
キーボード操作中に、手関節の伸展動作が入っているのです。
キーボード操作の運動量は、テニスのバックハンドストロークに比べれば、非常に少ないですが、一日の大半がパソコン作業をしている方にとっては、その負荷は相当なものになります。
長時間のキーボード操作は、バックハンドテニス肘(上腕骨外側上顆炎)を引き起こす原因になるのです。
バックハンドテニス肘を引き起こす原因は、手首のオーバーユースです。
治療法としては、手首の動きを制限し、患部を休ませることが大切です。
具体的には、手首の動きを制限するサポーターを着用することです。
また、患部付近の筋肉の痛みや炎症を和らげる方法として、鍼治療はおすすめです。
鍼は、筋肉の痛みや炎症を軽減させる効果があります。
バックハンドテニス肘でお悩みの方、鍼治療を取り入れてみてはいかがでしょうか。
子供が突然腕を動かさないその症状、肘内障かも
肘内障は、未就学児に多く、手を引っ張られて受傷する場合がほとんどです。
受診時に付き添いに来られた方からは、「子供の肘が外れた」という表現がよく用いられます。
肘内障の主な症状は、患部に明らかな腫れがなく、痛みを訴え、腕を動かそうとしません。
徒手整復を行うと、すぐ泣き止み普通に腕を動かす事が出来ます。
徒手整復は比較的容易ですが、安易に行ってはいけません。
未就学児は、受傷機転を自分の言葉で上手に説明できない為、念のため他の外傷を疑う必要があります。
付き添いに来られた方からも受傷機転をよく聞く必要があります。
橈骨下端(手首あたり)の外傷、肘関節の外傷(捻挫や打撲、そして骨折など)、そして鎖骨の外傷などを想定しながら確認しなければいけません。
これらの疑いが除外できたと確信出来たら、専門家による徒手整復を行うべきです。
また、肘内障と肘関節の捻挫などの整復操作は異なります。
初診での見立てを誤ってしまうと、患者様にとって良くない方向になる恐れがあります。
肘内障の整復は、柔道整復師になって初期の段階で行う施術ですが、己を過信せず、冷静にかつ慎重に行うべきであると考えています。
他人事でなく自分への戒めとして、患者様に適切な施術を行ってまいります。
前かがみ動作による肘への負荷について
前かがみでの身体操作は、正しい姿勢での動作に比べて、肘にストレスが加わります。
胸を張れている状態では、肘へのロスが少なく、最小限の力で効率よく動かすことが出来ます。
力のロスが生まれると、必要以上に力を入れなくてはならない状態となります。
前かがみ姿勢での反復的な動作は、肘まわりの筋肉に硬さや痛みを引き起こす原因になるのです。
ヒトの身体は、建物に例える事が出来ます。
骨盤の部分は建物でいうと1階部分に相当します。
建物の1階部分に歪みがあると、上層階にあたる肘や肩や首、そして背中にも歪みが生じ、必要以上のストレスが加わります。
同じ動作でも、身体全体のバランスが整っている方が、患部に負担がかかりにくくなるのです。
肘の運動は、身体全体が協調し合いながら行われています。
身体全体のバランスを整えることで、力のロスが最小限になると考えております。
正しい姿勢の意識付けは、「胸を張ること」が大切です。
胸が張れやすくする為には、身体全体の骨格バランスを整えることが必要です。
また、胸が張れにくい状態の方の多くは、身体全体の筋肉が硬くなっている傾向があります。
身体全体の筋肉を和らげる方法として、「鍼治療」が有効であると考えています。
「鍼治療」と「骨格アライメント調整(骨や関節の並び方)」を併用することで、身体全体のバランスを効果的に整えることが出来ます。
また、患部を休めることも非常に大切です。患者様の状態にあった適切なサポーターをご提案させていただきます。
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